2001年から社説タイトル一覧を掲載する意味  


━ 2001年1月1日から、今日に至るのまで、全国紙5紙の社説タイトルを載せている。
2014年からはブロック紙を加えた。
狙いは一つである。
現代史を、つかみたい。
何が変わって、何が変わらないのか。
如何に変わっているのかをつかみたい。 ━


新聞社の社説は、
最新の記事、国内外の問題について、解説及び主張、論説を展開すると定義されている。
各紙とも、上記定義に準じて論説が展開されている。
当然であるが、その時々の状況を社説は反映しているはずである。
各紙の考え方も表れている。
各紙ごとにみれば、思想の潮流が現れているはずである。

日本国内の新聞社数は、全国紙が5紙、ブロック紙が6紙、地方紙が100紙強存在している。
全国紙は、朝日、産経、日経、毎日、読売新聞とされている。
ブロック紙は、北海道新聞、河北新報、東京新聞、中日新聞、中国新聞、西日本新聞がある。
全国紙の創刊年と現在の発行部数を社名50音順で次に挙げた。
◆朝日新聞 1879年 680万部
◆産経新聞 1933年 160万部(日本工業新聞として創刊)
◆日経新聞 1876年 275万部(中外物価新報として創刊)
◆毎日新聞 1872年 325万部
◆読売新聞 1874年 910万部
2016年の発行総数は約2350万部である。

全国紙の合計発行部数は、2000年頃に比べると1000万部ほど減ったのではないか。
世帯数が1000万ほど増えているにも関わらず、逆に発行部数が減っている。
2015年の世帯数は約5600万である。
一人世帯が急増している。
社会の状況、情報機器、情報インフラの変化によると推定される。
ニュースを、多くの人はWebから収集している。
だが、Webからの収拾では偏りが生じる。
検索数の多いモノから順に現れ、些細であっても重要なものを見逃しやすい。
新聞も類似するが、
現時点で注目されている事柄への意識が、最大に近づいているか、減少を始めている。
次の機会を見つけるには至らない。

新聞の場合は、二つの要素がある。
一つは、最大に近づいている重要課題である。
他の一つは、近未来に対しての予定、計画、または奇異な現象が載せられる場合である。
先を考えれば、業種、職種、立場によるが、重要課題が重要とは限らない。
重要課題は賞味期限の短い記事である。
ニュースを見るときに注意しておかねばならない。

世界で発行部数の多い新聞は、インドに2紙、イギリスに1紙、ドイツに1紙ある。
共に380万部から280万部の範囲にある。
日本に比べれば、少ない発行部数である。
米国WSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)で240万部であるから、
日本の新聞社の発行部数が如何に多いかが分かる。

読売新聞が一時1000万部を超えていた時があった。
日本の全国紙の影響力が強いのは想像できるが、
読者としては、情報収集を調整する必要がある。

社説に至っては、掲載日が違っても全国紙が同じテーマで論じている時がよくある。
現象、問題、課題について、大事とする事柄が何であるかは分かる。
大事を知り、大事を追うのも大切であり、社会変化、思考変化が知れる。

社説が必ず正しいと思い込むのも問題である。
社説が、問題、課題に対して、背景から述べているとも限らない。
背景をすべて考慮されているかも不確かである。
問題に対してのアプローチは、各メディアの考え方、立場がある。
社説論旨は各紙に若干の違いがあっても論じられているタイトル、テーマは、適切である。
論旨展開と内容は別問題である。

全国紙の創刊日を見ると、明治維新1868年から10年前後になっている。
仮に、創刊当時から社説があったとして、
日々の社説を一度に見られれば、現代史は分かるはずだ。
100年以上の歳月が流れている。

1900年代は、経済、政治ともに、大きく動いた世紀である。
人類が初めて経験する事柄が多く起こり、社会の状態、体制、制度を変化させた。
科学が経済に関わり、大卒者が組織で活動した世紀でもある。
知識社会、知識科学と言われ始めたのは、1930年頃だった。
二つの世界大戦を経験している。
生産革命があった。
この時の社説はどのようなタイトルで書かれているのだろうか。

年表で視る歴史ではなく、
社説タイトル一覧からは、人々の息遣いが聞こえてくるかもしれない。

どうして、各紙ともに、創刊日からの社説タイトルを掲載していないのだろうかと思う。
各紙ともに、日々を綴ってきた。
デジタル版が広がって、各紙ともにバックナンバーが見られるようになっている。
だが、創刊時から一覧としては眺められない。

現代史の研究者でなくても、
現代史の一端に触れれば、経過をみれば、今の考え方の参考になるかもしれない。
現代からみれば、間違いもあっただろう。
間違いであった、臆病だった、背景を見失った、諸々の社説ミスは、現在から見て分かる。
当時は、その時々の時代では、評論としても、論旨としても適切であったと考えたに違いない。

当社では、2001年から、全国紙の社説を収集し始めた。
5年程度では、現在が見えてこない。
10年を過ぎると、何かが分かりそうな気がする。
2001年からでは、現代史とは言えないかもしれないが、参考にはなるだろう。

HPの公開ページに掲載しても良いか、と某紙に尋ねた。
著作権の問題を解決しておくためだった。
しかし、タイトルの掲載の了解は得られなかった。
研究、学習資料として、限られた範囲での使用は、問題ない。
そこで、会員ページとして掲載している。

歴史の一端、これからの動向を検討するについての資料になればと思う。
社会全体を見る手がかりにしていきたい。

≪参考≫ 当社では、文章分析の参考にするために、社説データを集め始めた。
2001年1月1日から、できるだけ漏らさないようにしている。
月単位で全国紙社説を分析している。
本文をデータとして保管しているので、研究資料として必要なときは、提供できるはずである。


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