◆≪最大成果を宣言≫ ちょっと頑張ろう 2458号   2016/5/31 火曜日

≪人材育成――育成前に認識しておく事柄≫

教育、育成の経験を積んでいない者が、余裕を持って育成にあたるなどはできるはずがない。
仕事の経験が豊かであっても、育成とは趣が異なる。
十分な準備が必要である。

初めて、育成に携わるとき、忘れてはならない事柄が三つある。

仕事をするとき、仕事の主役は自身である。
OJTであれ、OffJTであれ、育成しようとする者が主役のように見えるが、逆である。
主役は、学ぶ者である。
学ぶ者が、学ぶモノを身に付けて、育成が可能になる。
伝える者が学ぶのではなく、学ぶ者が学ぶのは当然である。
学ぶ者が主役であると、忘れてはならない第一の事柄である。

社会人としての新人、いくつかの仕事をこなした者も、
年数に応じて平等に知識、技術を身に付けている。
知識、技術のレベルなどは大した問題にはならない。
経験を自らの知識、技術に組み込まれているかが大切である。
永年仕事をしていても、経験を自らの知識、技術に組み込めていなければ、新人と変わりがない。
まず、自らを想い起してもらわねばならない。
知識として持っているモノ、
知識を技術に置き換え事柄、技術をもって成し遂げた事柄を思い起す。
逆ものある。
技術を学び、出来るようになった事柄を知識に置き換えている必要がある。
技術を知識に置き換えるとは、技術の基本になっている理論を明確にさせる。
技術を活用して何事かを成し遂げた対象への作用の理論である。

技術化できない知識は役に立たない。
知識化できない技術は発展性がなく、活用範囲が広がらない。
学ぶ者が既に持っている知識、技術の知覚である。
これが第二の作業である。
少々、時間がかかるが、確認してもらう必要がある。
一度、確認ができれば、次の経験を知識化できる。
当然、座学で学んだ事柄を技術として活用できるようになる。
座学が、一般に、役に立たないのは、活用できる場面をいくつも想定できないからだ。
教える者は、学ぶ者の持っているモノを確かめなければならない。

目標を定めなければならない。
手元にある仕事ができるようになるのは当然であり、
指導者がついていなくても、見よう見まねで、いつかはできるようになる。
育成をしようとする者が、手元を見ておれば、学ぶ者も手元しか見ない。
顔を上げさせ、周りを、遠くを見させなければならない。
一つの仕事を任せたとき、任された者は、
任された瞬間から、自らが決めなければならない事柄が一機に増える。
目標が分からなければ、些細な事柄でもどうして良いか分からない。
目標が見えなければならず、
目標を達成したとき、自らがどうなっているかを想定できねばならない。
第三が、目標を示すことが大切である。

目標がなければ、育成などが出来るはずもない。


仕事としてしなければならない事柄が三つある。
第一が、今日の仕事を、今日の糧として完結させる。
第二が、まだ、見つけられていない新たな機会の発見である。
第三が、次の仕事の発見と準備である。
これらは、業種、業態に関わらず、すべての仕事としての日々の活動目的である。
具体的な内容は、業種、業態、職種によって異なってくる。

第一から第三までを、各個人の仕事の前提として認識してもらう。

さらに、時間をかけて達成すべき人材育成の目的が七つある。
第一が機会生産である。
第二がビジョンの生産である。
第三が革新を続けられる人材である。
第四が仕事のあり様を社会とフィットさせる。
第五が人材を育成できる人材である。
第六が知識生産である。
第七が知識、技術を資源化できる人材である。
一人の人材が七つのすべてができるようになるのは困難である。
一つでも良い。
どれかが達成できるようになれば良い。
人材育成の最大の目標であり、次世代に組織を発展させる要である。


育成のための三つの前提、日々の仕事の目標、育成目標としての七つを見定めて育成が始まる。


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