◆≪最大成果を宣言≫ ちょっと頑張ろう 2455号   2016/5/26 木曜日

≪経営思考/次元――先端を追う≫

「手元から顔を上げて周りを視よ」は、「手元を見るな」ではない。
手元を見ているのは当然である。

サッカー選手がボールだけを見ていては、ゲームにはならない。
仲間を見て、相手チームを見る。
コートの枠を見る。
コートの枠は固定していて、枠からはみ出てはならない。
ルールがあって、見えない枠組がある。
ボールと仲間、相手チームを見て、現在を確認し、動きを推測する。
動きの大部分は、合理的な想定内である。
若干の、極僅かな過ぎゆく時間を見る。
共に現在である。


経営での枠組は、人々が暮らす環境を含めた社会であり、社会を維持するためのルールがある。
どこを見ても、何をしても、どこへ行っても、社会の枠組からはみ出さなければ良い。

社会の原則になる暗黙知がある。
自由、平等、平和である。
すべてのルール枠組が、この三原則に従っているはずであり、原則を維持するためのルールがある。
地域によって枠組が違う統治があり、正統性が存在する。
現在のみでとらえれば、統治による正統性が優先する。
表現し、実在する正統性が三原則である自由、平等、平和を乱すようであれば、
正統性への改善が要求される。
いずれ異なる正統性によって入れ替わる時がくる。
現在の正統性は、過去からの積み上げでしかない。
正統性は、未来ではなく、過去なのだ。

もう一つの枠組み、組織自身の維持がある。
組織が生き続けるためには、社会で機能しなければならない。
一組織単独では立ち行かない。
社会にあって、社会の機能を果たして、存続する。
そのために、組織特有の知識、技術をもって、社会の原則に従って社会機能を作り出す。
当然、その地域の正統性に制限されている。
現在の組織も、過去の決定によって作り出されている。

経営を考えるとき、組織と社会を同時に考えなければならない。
見えているモノはすべて過去である。
時間は、常に進み、組織も社会も時間に押されていく。


現代の人々は、時間と距離を短縮する方法を得た。
世界中が、どこに居ても見えるようになった。
統治に制限されなければ、どこに行って、何をしても、社会の三原則からはみ出さなければ良い。
自らのみの三原則ではなく、すべての人にとっての三原則である。

時間が進めば、発展する。
発展し、豊かになるようにと進む。
三原則に発展と豊かが加わる。

組織経営の目的は持続であるが、発展と豊かさに支えられる。
発展と豊さに向かわなければ、組織はなくなる。
当然の如く、社会の発展と豊さを進めなければならない。
そのために、組織の持てる力を発揮する。

組織は自活する。
自らの維持を自らの手で作りだす。
その唯一の手段が、社会の発展で無ければならないはずである。

こんなことは、当然すぎるぐらいに当然である。
無意識、意識するに関わらず認識している。
しかし、ここに動力を与えなければ、経営はできないのだ。
現在を知って、現在を受け入れ続ければ、過去にしか生きられない。

社会は進む。
知らない所で進む。
知らないでは、自らの組織が働き場所を失う。
自らの習慣、自らの起源、過去の決定に従っていたら、遺物にならざるを得ない。

現代の人々は時間と距離を短縮する術を得たが、
同時にリアルとバーチャルの二つの世界を確固たるモノにした。

元々、バーチャルは存在したが、それぞれ、一人または、数人の世界であった。
今では、全世界が一つになって存在し、バーチャルでの組織ができている。

リアルとバーチャルの世界を行き来できる術を得た。
各地域の正統性が見えるようになっている。
社会の三原則との現在とのギャップを知るようになっている。

発展していく組織は、先端を追い、先端を作り出す。
決して意外性ではない。
意外性には、刺激があるが、受け入れられるまでに時間がかかり、リスクが大きくなる。
既に起こっている未来を探せと言う意味がここにある。
既に起こっている未来は、社会の必要と必然から導き出されている。
始まっている未来は、断絶を作りだす。
断絶は、過去との断絶である。
習慣にはまっていると断絶に引っかかる。

既に起こっている未来が意外であったかもしれない。
その意外は、自身の不用意さにあったのだ。
先端を追い、先端を創り出そうとして、起こっている未来を探す。
自らの特異をもって先端を探す。

経営視点から見る世界に範囲はないし、現象だけでもない。
リアルとバーチャルが行き来して、
過去と未来が行きかい、今の社会の枠組み、正統性を未来に向かって広げていく。



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