◆≪最大成果を宣言≫ ちょっと頑張ろう 2413号   2016/3/18 金曜日

≪ものづくり――つくるものは勝手次第≫

マラソンが盛んである。
毎週のように、どこかでマラソンがあり、タイムを競う。
42.195キロを一人の力で走りぬく。
道具を使う競技がある。
スキー、サッカー、棒高跳び、等々。

どれもルールがあり、条件をそろえて競い合う。
体力と思考力、論理を使って競う。

ものづくりの世界で守らなければならないのは、コンプライアンスのみである。
社会倫理から外れる行為は、許されない。
暗黙の慣習があり、慣習からは逃れにくい。
だが、これら以外は何をしても構わない。
にも関わらず、同じモノで競うのは何故だろうか。
使えるものを精一杯使うと、開発の仕方、生産方法、流通、販売方法が同じになってしまう。
若干の違いはあっても、類似する。

42.195キロを、人が一人で走ろうが、自動車で走ろうが、ビジネスでは関わりがない。
歩いて、自転車で、バイクで、トラックで、電車で、進めば、
それぞれの効果、効用、成果が違うはずである。
ゴールとするのは何であるかも、勝手次第のはずだ。
にも関わらず、商品は類似する。

AIとして、コンピュータと名人が囲碁で争った。
一勝四敗で、名人が負けた。
一勝しただけでも、意味があったのかもしれない。
いったい、如何なる勝負の目的があったのだろうか。
如何なる結論を導きだしたかったのだろうか。
コンピュータの進化レベルを人で測ろうとしたのだろうか。
人である名人が、勝利したコンピュータとの中で名人域に達していたとしたら、
名人が勝利したはずである。
名人の所以である。
人の中での名人の成長とは違うはずである。


生産効率を検討するとき、生産ラインに着目する場合が多いだろう。
コストと時間を最少にしようとする。
場合によっては、機械設備を構築しなおすかもしれない。
何故に、生産ラインに限定されるのだろうか。

生産性を考えれば、顧客満足までを含む。
ものづくりは、基礎研究、材料の仕入れ、販売に至るまでのすべてが含まれているはずである。
組織として一体になって、成果を産み出す。

技術系、開発系、生産、販売等々の情報流が活性化していないのは何故だろうか。
同じ開発系で、情報が伝わらないのは何故だろうか。
どうして、情報ラインが切断されているのだろうか。
組織内障壁がどうしてあるのだろうか。

現在は、知識、情報が一瞬の内に伝わるとされている。
伝わるが故に、変化が激しくなる。
一つの情報が伝われば、それぞれのところで、何らかの反応が出てくる。
まったく関わりのない社会の人々が反応し、社会全体として、少しずつ動く。

社会に比べれば、巨大組織であっても比較できないほど小さい。
小さいにも関わらず、障壁が存在する。
障壁を取り除けば、社会進化よりも速いはずである。
成果は大きくなるはずである。
もちろん、組織目的は統一されていなければならない。

ものづくりを考え、実行する範囲をどのように設定し、どれほどの分野を活用すれば良いのだろうか。
ものづくりは「もの」の限定でもなく、「つくる」の限定でもない。
対象は自在であり、組み合わせも自在である。

考える範疇、視点、組み合わせ、組織外部の状況、等々の区分すら存在しない。
区分しているのは自分自身である。

数十年前までは、産業区分が歴然としていた。
紙を作る者は、紙を作る。車を作る者は車を作る。
今では、曖昧になり、重なりあっている。

ものづくりの「物」にこだわると、作るを誤る確率が高くなる。



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『組織論2≪社会変化を見つける視点≫』を更新しました。


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