◆≪最大成果を宣言≫ ちょっと頑張ろう 2410号   2016/3/15 火曜日

≪ものづくり――思想から作る≫

昔、始めに物があった。その物を欲しくなった。
欲しいと他に伝えたくなった。そこで名前がついた。それが言葉だった。

その物がもっと欲しくなった。
だから、物を真似て物を作った。物の加工を覚えた。
物から物を作った。

形、色、触感、音を覚えた。
それぞれを伝えたくなって言葉が増えていった。
言葉が物を作った。

言葉と言葉が結びついて、いろいろな言葉ができて、言葉が形のないモノを表すようになった。
概念である。
概念はもともとあったが、言葉となって、意識され、生産に使われるようになった。

概念が言葉を作り、物を作るようになった。

概念が道具を産み、機会を知り、物ができるようになった。
概念、言葉、物が折り重なって、
または、いくつかの概念だけが重なって、体系化され、思想ができた。

作ることが体系化され、技術になり、技術が知識になった。
知識が知識を進め、知識を発展させる。
知識が思想を作りだす。

思想が発展し、様々な知識が蓄えられ、思想と知識から物が作られるようになった。
自然には元々なかった形や用途の物が作られていった。
初め、物から物が作られていたが、今は、思想から、まったく新しい物が産まれている。
知識が可能性を広げている。


現在に至るまで、1万年以上が過ぎた。ゆっくりとした進化だった。
近年、この100年に科学が急速に発達し、知識・技術・思想が激変した。
知識が地球上の距離を無くしてしまった。

人が産まれて、五感から、様々な言葉と具体物と抽象物を学びとる。
今や大量の疑似体験をする。
大量の言葉を知り、大量の真理を知る。
自分の中で複雑化し、やがて放置され、忘れられる。
その中で、自分の内に残って積みあがっていくものがある。
無意識ではなく、知覚しながら積みあがっていく。
知覚すること、自らの知識に意味を持つことに進化が潜み卓越が産まれてくる。
自らの活用の範囲が広がれば、考える範囲、見る範囲が広がる。
さらに活用の範囲を広げてくる。

その入り口が、自らの意識である。
自らが大切にしているはずの思想で言葉である。

物から物を作り、言葉から物を作り、概念から物を作り、思想から物を作る。
「ものづくり」の「もの」は概念でもあり、思想でもあり、表現が知識になる。

今や、「もの」は「物」から離れ、「自由」を作る。

ある物、生産している物にこだわると、太古に戻ってしまう。

「ものづくり」は思想を作る。思想が「もの」を作る。
「ものづくり」は便利を作る。時を作り、進化を作る。



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