◆≪最大成果を宣言≫ ちょっと頑張ろう 2378号   2016/1/27 水曜日

≪情報組織へ転換――意味を聴け≫

ドラッカー氏はよく組織をオーケストラに例えている。
サッカーチームや野球チーム、テニスのダブルス、ジャズバンドなどを引き合いに出している。
仕事の形態、あり様によって、形が違うようだ。
自動車産業の雄であるトヨタは、サッカーチーム型に当てはめていたようだ。
トヨタが世界に勇躍した一つとして、
サッカーチーム型であったと説明している文章があったように思う。
巨大なGMは野球チーム型であったそうで、サッカーチーム型にしようと苦心したそうだ。
ドラッカー氏は『企業とは何か』で、GMを取り上げ、組織形態、構造について説明している。
如何なるチーム形態が理解しやすいかは、それぞれの視点と思考形態によるだろう。

如何なるチーム形態であったとしても、何かを見ながら作業が進んでいく。
野球型よりも、サッカーチーム型の方が、生産効率は良いように思える。
全員が一丸となって、休むことなく、進めている。
ステージはコートであって、相手チームがいる。
相手チームを見ながら、ボールを追いかけ、目標に向かって進めていく。
仲間を見なければならないし、相手を見て、ボールを見て、ゴールを目指す。
目的は一つである。

オーケストラの場合も同じだ。
全員が、楽譜に従って、それぞれがソロ奏者として演奏する。
楽譜が設計図であり、観客の感動が目標である。
「観客の感動」の意味では企業活動と類似しているかもしれない。
しかし、企業活動の場合、始めから楽譜は存在しない。
演奏をしながら、楽譜を書き進めていく。
観客の様子を見ながら、楽譜が書かれていき、
ソロ奏者である全員が、観客を意識しながら演奏を進めていく。
ドラムは後ろで出番があまりないように見え、主役ではないように思えるが、
全体の演奏を引き締めている。

我が社は小さいからか、オーケストラよりも弦楽四重奏が好きである。
2つのバイオリン、ヴィオラ、チェロによって観客を魅了する。
それぞれは、ソロで演奏しても十二分であり、息のあった緊張感がただよっている。
仕事で、弦楽四重奏のように演奏できたら、鳥肌が立つほどに素晴らしい。
巨大組織であっても、一つのチームは、室内管弦楽程度ではないだろうか。
如何に、大きな仕事であっても4、5人で進めてられている場合が多い。

如何なるチーム型であっても、全員が立派な、優秀な奏者である。
全員が、自分たちだけでなく、相手を、外を視ている。
視ていなければ、次の行動が起こせない。
次の楽譜が表せない。
相手を見ながら、目標に向かっていく。

スポーツの場合は、相手が明瞭である。
オーケストラの相手は観客の感動である。

ドラッカー氏は『ポスト資本主義社会』でこう言っている。
― 明日の組織のモデルは、オーケストラである。
二五O人の団員はそれぞれが専門家である。
チューバだけでは演奏できない。演奏するのはオーケストラである。
オーケストラは、二五O人の団員全員が同じ楽譜をもつことによって演奏する。―

『非営利組織の経営』では、こう言っている。
― 指揮者に勧められて、客席から演奏を聴いたクラリネット奏者がいる。
そのとき彼は、初めて音楽を聴いた。
その後は上手に吹くことを超えて、音楽を創造するようになった。これが成長である。
仕事のやり方を変えたのではない。意味を加えたのだった。―

『そのとき彼は、初めて音楽を聴いた。』とは何を意味するのだろうか。
外に出て行かなければ、意味は分からない。
独りよがりになるだけである。

意味を知って、仲間たちを見て、仕事の意味が変わるかもしれない。
そのとき、指揮者が心がけるべきことは何だろうか。

文章としては、ここで止めておきたいのだが、
リーダーは、組織人材の全員の息を合わせようとする。
「息を合わせよ」と言っても合うはずもない。
目的を明確にする。
目的の意味を示し(ミッションは何か)、情報によって、今を明らかにする。
ソロ奏者として、するべきことを知ってもらい、行動してもらう。
クラリネットを持つのか、バイオリンなのか。
どの一つが欠けても、完全な演奏にはならない。



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